メルカリやラクマ、minneなどでペープサートやパネルシアターを販売するとき
どのように価格を決める?
ハンドメイド初心者が必ずあたる壁が、ズバリ「価格設定」。
原価率30〜40%って何?自分の作った作品をいくらで売れば良いのか。
仕入れから材料費、制作・梱包・発送のための人件費の考え方について疑問に答えます!
2020年から妻が保育教材をはじめて、年間売り上げ数1,000件を超えるハンドメイド主婦になり、日々陰ながら支えています。
このページでは、妻が苦戦していたハンドメイド作品の適正価格の決め方について、
これまでの経験と販売実績をもとに書いていきます。
具体的な数字も入れて解説していくので、
ハンドメイドを始めたばかりの方、
販売価格の設定に不安がある方はぜひ読んでください。
今回の依頼人 はみ工房(妻)
ざっくりとした依頼内容はこちらです。
初めて作品をつくります。
ちゅうりっぷの絵をデザインして色塗りをしました。
そのイラストを画用紙にフルカラー印刷(自宅プリント)をしました。
封筒に入れて、完成まで20分程度かかったかな。
楽天ユーザーなので、ラクマを登録しました。
ペープサートの材料としてこの絵を売ってみたいです。
自由に決めて良いから難しい!〜私が決めた販売価格は高すぎ?低すぎ?〜
自分は自分。まずしっかりと基準を設定していこう!
手先の器用な方でハンドメイド作品をメルカリやラクマで売りたいという人は多いですよね。
作ることは何の苦でもない。
だけど数字になると頭がフリーズして何も考えることができない。
この価格って妥当なのかな?と、販売に踏み切れない。
私の妻もその一人でした。
「好きだから作品は作れる」
「フリマサイトは登録したし、使い方はわかった」
「自分の作品の価格はいくら???」←今ここ
当然、高すぎても売れないし、
安すぎても売れるだけ自分が損をするというのもおかしな話です。
同じような作品を作っている人に合わせても、
そもそも材料も違うしどうしたら良いの?
こんな壁に当たって、販売価格を決められていなかったり、
その作品ごとで適当に値段設定をしている方はいませんか?
私も妻も商いの素人ですし、今だってまだまだ未熟者です。
ただ、自分なりのしっかりとした理屈を持って販売価格を設定しているので、
周りの人に流されずに値段設定ができるようになりました。
その金額に見合う価値を提供していると言う自負があります。
ここからは、私と妻が一緒に考えた価格設定の基準をお話ししたいと思います。
Excelが少しでも使えるなら、計算に便利な「売値計算君」(私が勝手に呼んでいる愛称)シートの作り方も、簡単ですがお伝えしたいと思います!
Excelがわからない!!ノートと鉛筆、電卓があればできる!適正な販売価格の【手書きの計算式】(内部リンク)
原価を把握しよう!
自分にとっての”適正価格”という最終目標を達成するためには、
まずは己を知らなければなりません。
原価とはまさにその商品自身のことです。
仕入れ費 <使っている材料を書き出す>
まずはあなたが、作った作品にかかっている原価を把握するために、
作成した材料一覧を書き出してみましょう。
もちろん紙やノートでも大丈夫です。
私は後々に「売値計算君」を作成したいので表計算ソフトExcelを使って書き出してみます。(画像1)
材料費 <1つの作品を作るのにどれだけ材料を使うのか把握する>
これが意外と大変!!
画用紙は何枚使うかわかりやすいのですが、
私の例(画像1)でいうインクなんかは1つの作品を作るために、
どれぐらいのインクを使うかなんてわかりません。
そんな時、私たちは、新品のインクに入れ替えてからそのインクがなくなるまで、
どれくらいの作品を作ることができたのかで計算することにしました。
私たちの場合、インクはフルカラーで1枚あたり17円程度にすればよいと計算ができました。(画像2)
「売値計算君」を作成し、後にいろいろなパターンを変更して検証するためにBC列に必要数とDE列に単価と別に作っておきます。
(画像2)のようにしておくことによって(画像3)のように、
必要枚数を変えたときの材料代を変えたり、
物価高騰や仕入れ先の変更によって単価が変わった時にもすぐに変更結果がわかりやすくなります。
(画像4)のように材料代の合計を出しておくと、
その作品の材料代がわかり、今後の材料仕入れのヒントになりますね。
適正な販売価格の【手書きの計算式】(内部リンク)
梱包費 <作って終わりじゃない、相手に届けるまでが商い>
さぁ材料代の合計が出たところで金額を決めるぞ!!というのはまだまだ早いんです。
簿記上では原価計算に入れませんが、
私個人の考え方としては相手に届くまで、
つまり作った商品を包む梱包代も原価に入れないと販売価格なんて考えられないと思ったわけです。(画像5)
✴︎ちなみに下の写真にある手紙というのは買って頂いた方への感謝と、このHPに繋がるための広告を兼務した手紙兼広告のような物です。私が以前ハンドメイド作品を買った方が、丁寧に手書きの手紙を入れてくださったのがとても嬉しくて真似させてもらっています。裏が白紙なのは勿体無いので、自分の広告を入れさせていただきました(※広告を入れることが規約違反になる販売サイトもあるので、その場合はお手紙のみにするようにご注意ください。)
原価を考える時に一番大切な人件費 <そもそもその商品を作っているのは誰?>
材料代と発送代が出たから135円と186円の合計321円でチェックメイト!!
さぁ販売価格を決めましょうよ!
ちょっと待ってください!!!
大事な人件費のことを忘れていませんか?
皆さん、あと一歩です。
この商品を作ったのが誰か、梱包をして発送先に持って行ったのは誰なのか、ここが大事です。
(画像5)の材料があれば勝手に材料が動き出して、
商品を作成して購入者まで発送してくれるのでしょうか。
もちろんそんなことはありませんよね。
この材料を使ってハンドメイド作品を作っているあなたの賃金がここには入っていません。
作成者の時給(もちろん社長であるあなたが決めてOK)と
作品1つを作るのにかかる時間から割合を使って計算しましょう。(写真6)
私は趣味の延長でハンドメイド作品を作っていますので、
少しでも安く相手に届いて欲しい住んでいる地域の最低賃金にしました。
「そんなに安く相手に渡れば良いんだったら賃金0円で考えれば良いじゃん。」と思われるかもしれませんが、
これが「納得のいく価格設定」のポイントになってくるのです。
私がこの記事で、皆さんに一番伝えたかったことはこれかもしれません。
<自分の賃金を設定するってどうなの?>
考え方についてさらに詳しく書いた記事はこちらです。(内部リンク)
ハンドメイド作品で商いをしようと考えている人なら当然、
相手に安く良い物を届け、それを使ってくれる方の嬉しい顔を見たいですよね。
自分の趣味をお金にできれば御の字と考えて始めた方も多いかと思います。
そんなあなたに一つのアドバイスです。
価格設定をするときに常に心がけることは相手と自分がWin-Winになること。
もちろん自分だけが儲けていては相手が損をしてしまいます。
かといって、相手だけが価値のあるあなたの商品を価値以上に安く買えてしまうのもどうでしょうか。
売れば売るだけあなたは疲弊して、
その分の正当な報酬ももらえず、
近い未来には相手にその価値のものが提供できなくなってしまい
あなたの素敵な作品は世の中かから消えてしまいます。
そうなっては元も子もありません。
物にはある価格で取引をすれば、
買った相手も売ったこちら側も納得できるという目に見えない適正価格があります。
それはいくらなのか決まりはありませんが、
しっかりと自分の作品にプライドを持って相手のことを考えて作った作品であれば、
その報酬を頂くことは悪いことではありません。
あなたの時間には 何百人、何千人とあなたの作品を買った人が
「良い物だな、得をしたなぁ♪」と感じるものを作り出せる価値があります。
だから堂々とあなたの賃金も原価に入れて欲しいと思います。(写真7)
原価を元に納得のいく適正価格を考えよう!
一般的な原価率は3〜4
さぁいよいよ「納得のいく適正価格」を考えましょう。
といってもどうすれば? そこがわからないから困ってるんだよ!
というお叱りの言葉がう画面の向こうから聞こえてきます。
私はまず一般的な原価率を調べることにしました。
すると一般的な個人事業主の場合の原価率は41%前後(注1)だということがわかりました。
そこで503円が41%になるような金額をExcelに計算させました。(写真8)
(注1)参考文献:「中小企業実態基本調査」中小企業庁
適正な販売価格の【手書きの計算式】(内部リンク)
サイト内での販売手数料や送料を調べよう
2023年8月現在 手数料一覧
メルカリの手数料は販売価格の10%
ラクマの手数料は販売した商品価格の4.5〜10%
minneの手数料は注文価格に対して10.56%(税込)
送料は作品のサイズによりまちまちですね。
ペープサートや、未カットのパネルシアターで
A4サイズに収まる場合はネコポスや ゆうパケットを利用する方が多いかと思います。
ここでは、「 ラクマ 」でペープサートを出品したいと仮定して、手数料は123円
かんたんラクマパック(日本郵政)ゆうパケットポスト175円で計算をしていきます。
作品売ると自分の手元にいくら入るの?を可視化してモチベーションup!
ここまでできればもちろん、
十分な理論立ててあなたの販売価格を決めることができているとは思いますが、
私、これではテンションが上がらなかったんです。
結局1個売れると手元にいくらお金が残るのか、これって一つのモチベーションになりますよね?
1個売れて400円手元に残るんだから2個売れたから美味しいプリン買っても良いかな。。。とか、
このモチベーションって続ける上で結構大切だと思うんですよね。
そんなのもこのExcelの表に入れて可視化できるようにしておくとGood。(写真9)
適正な販売価格の【手書きの計算式】(内部リンク)
依頼主 はみ工房(妻)へ
あなたの ちゅうりっぷの作品は
1,200円 で販売すると良いと思います。
根拠(内訳)として、
原価が503円 発送にかかる費用が298円
人件費 これからも作り続けていくための対価(報酬)357円と算出できるからです。
これに見合うような丁寧な作品作りをこれからも心掛けて続けてください。
ぱぱペンより
まとめ
ここまでご覧いただき、おおよその適正価格の算出の仕方はお分かりいただけたのではないでしょうか。
ここまで来れば、あとは原価率を色々と変えてみたり、
やっぱり自分の時給はこれぐらい欲しいな、など。
他の人がどのくらいで売っているのか相場と比較しながら自分の納得できる金額を設定してみてください。
フリマサイトなんかでは、
これ本当に原価ギリギリじゃないと思ってしまう方もいますが、
私の経験上そういった方は作業と売上が合わなくなり市場からいなくなったり、気がついたら値段を上げています。
やはりWin-Winということがハンドメイドの長続きの秘訣ですね。
本当に価値のある良い物をあなたが作っているのであれば大丈夫。自信を持って値段を設定してください。
どんな値段交渉をされてもやってはいけないことは
【原価合計】+【販売手数料】+【送料】より販売金額を下回ることです。
これをすると売れば売るほど赤字が確定です。
大手企業なら出血大サービスなどありますが、個人的な考えとしては
個人事業主はそんな戦略を立てるより、
まずは良い物を相手に提供することを一番に考えて素敵なハンドメイド作品をつくること
が大事なのではないでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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